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僕の色 

今思えば、きっとあの頃の僕は最大限に自分というものを表現しようとしていたのかもしれない。


まるでそうしなければいけないかのように。

 


「痛い!嫌だ!痛い!」


幼稚園最年長になるくらいだったと思う。僕は西側から東側へ引っ越しをした。


新しい幼稚園だったか保育園での入園の手続き中だったと思う。僕は全力で抵抗していた。


「これも痛い!痛い!」


良くある黄色い帽子の試着だった。僕はその帽子をかぶることが嫌だった。だからサイズが小さいと僕の頭はデカイんだと抵抗していた。どのサイズが出てきても、西遊記の悟空の如く頭が割れそうだと言わんばかりに叫んでいた。


結局一度もその帽子をかぶることはなかった。どこかのチームの野球帽をかぶって通園していた。


きっと大人たちは気づいていたと思う。痛いわけないと。嘘をついていると。単なる我儘な子供として映っていたんだと思う。なぜそうするのかという僕の心の中の叫びなど気にも留めずに。


いや、僕自身も分かっていなかったんだと思う。カッコ悪いから嫌だという単純なものじゃなかったんだと今の僕なら何となく分かる気がする。


この心の中の叫びは、それからも続いていった。


ランドセル。小学生の代名詞。今ほどではないが、少なからず選択肢はあった。あったけど全く興味がなかった。いや興味を持つことすら許されなかったのかもしれない。


「男の子だから黒ね」


母親の断定的な言葉が嫌だった。何で訊いてくれないの?僕が欲しいモノを知りたくないの?そんな甘えん坊だったのかもしれない。だって子供だったし←


ランドセルは4年生の途中で使わなくなった。いや、使えなくした。


日々ボロボロになっていくランドセルを見て母親は僕がいじめにあってるのだと思っていたに違いない。まさか僕が毎日ランドセルを蹴りながら、ぶん投げながら帰ってるとは思いもよらなかったと思う。


片方のショルダーベルトが破損してとれたのをきっかけに、僕は所謂ショルダーバックで通学した。そのせいか、5年生になったころにはランドセルで来ている同学年の生徒はいなくなっていた。


中学に入っても変わらずで、1年の途中から学校指定のカバンを使わなくなっていた。目立ちたいという気持ちがないわけではないけど、それよりも何よりも気にして欲しかったんだと思う。知って欲しかったんだと思う。僕という人間を。僕という色を。誰よりも母親に。

 

わりと早く学校にいたな…


当時僕はおばあちゃんといることが多かった。親が仕事から帰ってくるまでおばあちゃんの家にずーっといた。おばあちゃんの家にいるたくさんの猫と共に僕は過ごしていた。単純に寂しかったんだと思う。会話のようで会話になっていないのだから。おばあちゃんと、当然だが猫とも。きっと孤独だったんだと思う。


とは言え、友達はわりといた。本当に友達だったのかは分からないけど、それなりに周りに人はいた。良くも悪くもそんな集団の中にいた。その集団の中でも孤独だったのかもしれない。満たされない何かがあったのかもしれない。


そんなモヤモヤを中学に入って部活にぶつけたんだと思う。本気という感情を初めてもったんだと思う。集団というはっきりしないものからチームという仲間の中で、僕は孤独から少しずつ抜け出せていたのかもしれない。


部活で親よりも帰るのが遅くなっていたので、おばあちゃんとはもちろんだが、親ともそれほど話をしないどころか、まともに会うことがなくなっていた。結局僕は知ってもらえないまま家を出た。そう思っている。


遠方の高校ということで寮に入った僕は、どんどん家に帰らなくなった。年単位でしか親と会うことはなくなった。今もそういう関係でいる。後悔とかそういうアレは特にない。もっと上手くできたのかなとは思うけど、きっとこれが僕なんだと思う。


今の僕を僕は結構気に入っている。確かに色んなことが起きて、辛いなって思うこともあったけど、結構あったけど、その経験が今の僕という人格形成に役立っていると思っている。今の僕の人格が良いのかはアレなのだけど、良くも悪くも気に入っている。僕というこの色(・・・)を好きになっている。


ただ、その色は日々変化しているような気もしている。何色にもなるのが僕なのかも。というのは自惚れなんだろうけど、そんなこと思う自分が好きだったりする。


そんなことを最近再認識した。再認識させられた。

 


君だけの色、大切にして欲しい。

 

そんな言葉を見て、頂いて、色んなことが頭の中を駆け巡って、この記事が生まれた。生まれるべくして生まれたんだと思う。確信もなくそう思う笑

※ありがとうskyちゃん(id:sky0612290)笑


でも実際、僕の色はどんなんだろう…


きっと、今まで知り合った人から少しずつもらってできた色なんだろうな。いいとこ取りではないのだろうけど、そうやって僕の色は作られていったんだろうね。


出会いは財産なんていうけど、本当なのかもしれない。


あなたの色はどんな色なんでしょうね。


その色を大切にしてますか?

 

セコムしてますか?

 

・・・・・・

 

 

僕のは迷路なのかもしれない←


ですね。

 

書いた人

名前:S
ひょっとして知り合った人全員の色が黒で僕の色が真っ黒なんじゃないかと思ったのは内緒にしてあげて欲しい。お色直しって言葉が何だか深いかもとか思ったのも内緒にしてあげて欲しい。僕の記事が好きだなと思ったことは内緒にしないで欲しい。

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