写真と文

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こんなものは嫌だ


不思議というか不愉快というか様々なことが起きる。だから出張は嫌いだ。確かに良いこともあるけど、何ていうか半分好きで半分嫌いだ。


目的地での交流は好きだ。美味しい食べ物、美味しいお酒、移動中の寝れる時間、どれも好きだ。


だけど


予期せぬトラブルが嫌いだ。移動中の不快な奴らが嫌いだ。嫌いなんだ。


とはいえ


行かないわけにはいかない。日本語が不得意な外国人が聞いたらなぞなぞかと思うかもしれないが、行かないわけには行かないわけだ←


そんな出張での嫌な出来事の1つをここ写真と文にぶん投げて供養しようと思う。

狂ってるって

 

 ‟機長からの指示で客室乗務員も着席しシートベルトを着用致します。大きな揺れ…”


流石に目を覚ました。


この日は10年に1度とかいう荒れに荒れた日だった。本当は僕じゃなかった。やけに後輩が渋るので久々だしと変わったらこのざまだ。バカじゃないの!と叫んでしまいたいほど揺れに揺れている。


僕もそれなりにフライト経験はあるが、ここまで揺れたことは今までない。そもそも引き返すかもという条件付きのフライトのため仕方ないと言えば仕方ないのだけど。


今正に着陸許可待ちで上空待機となっているのだ。幾度と旋回しタイミングをはかる。またダメかとため息が増えていたときだった。


確かに気にはなっていた。視界の遠くで落ち着きのない奴が居る。そんな程度だった。意を決して見たのが運の尽き?どえれー奴を見つけてしまった。

 

仲良しOLに実況LINEしてた笑


機内が大きく揺れた時だった。頑なに寝ようとしていた僕でも、流石に無理だなと思い周りを見回していると、お前もか?と言わんばかりにニヤついてる1人のおっちゃんと目があった。


初見で同志確定された僕はこの後常に熱き眼差しをこのおっちゃんから頂くことになる。


機内は相も変わらず揺れに揺れていた。最初は泣いていた赤ん坊すら泣き止んでいた。泣いている場合ではないと幼きピュアハートは感じたんだろう。


僕の左前の席のおばちゃんは揺れなどものともせず食わないと死ぬのかと言わんばかりに何かのお菓子にかぶりついていたはずが微動だにしなくなった。きっとあまりの揺れで食べることができず命を落としたんだと思う。アーメン←


生きている心地がしないとはこういう状況なんだと思う。客室乗務員は周りを気にしつつも椅子に座り、時折受話器を耳に当て指示を受けているようだった。


僕はこの状況をリアルタイムで地上でニヤついている仲の良いOLにLINEをしていた。高速でスマホに打ち込んでいる僕はきっと周りから遺書を書いている人と認識されていたはずだ。そのくらいこの機内では安全という言葉を信じる理由も勇気もなかった。


例のヤベーおっちゃんこと鉄拳(命名)はあまりの揺れに恐怖したのか1人恋人つなぎをしながら祈り出していた。ちなみに鉄拳と名付けた理由は個性的な外見だ。弱点を弱点と思わせないオープンスタンスなんだ。つまり髪型だ。ずばりハゲだ。

 


必死で1人恋人つなぎのまま祈りを続ける鉄拳。何故か両手の親指を立てだした。下手くそなカンチョースタイルのようなダブルいいねのドッキング状態で揺れながら祈り続ける鉄拳。いつその親指が己の目を潰すのではと気が気じゃない僕。そんな心配を感じたのか鉄拳は祈りを止め、突然不自然に前の椅子にある雑誌を取り出した。

 

めくる速度!


冷静ぶってるが尋常じゃない速度でめくられていくページ!もはやめくるではなくページに高速ビンタしていると言って過言ではない。すかして脚を組んでいるが小島よしおの下手こいたーの始めのケツよりも大きく早く縦揺れしている。デレデデレデデレデデレデ…ウェ~イ


そんな誰が見てもザ・不安な状態な鉄拳。のくせにまるで僕を救ってあげるかのように優しい目をしながら見つめてくる。きっとキャバ嬢がいつも見ている勘違いおっさんとはこういう表情なんだろうな。お疲れ様です全国のキャバ嬢。君達の大変さがちょっぴり分かったよ。だから今度君のおっぱ(コラ!


とにかく僕はこの全てを地上のOLに送り続けた

 

楽しんでまーす


何度目となるのか着陸態勢の指示が流れた。瞬時に反応したのは鉄拳。持っていた不自然な雑誌を元の位置に戻そうとしてコントのように手をぶつけた。その痛みを飛ばそうと手を振りに振りまくり遠心力を最大限に発揮しさらに手をぶつけた。その痛みに若干飛び上がったように見えた。


その一部始終を見ていた僕は、腹がよじれるほど笑った。笑いながらLINEした。OLも文字で笑っていた。


右手を負傷した鉄拳、おとなしい赤ちゃん、餓死したおばちゃん、遺書を高速で打ち続けている男、それらを見守るその他の乗客数百名。カオスと化した機内をさすがに不憫に思ったのか天候回復で無事着陸。

 

君のおかげさ←


結果面白かった。


だけど、やっぱこんな状況は嫌いだ。


そう…

 

こんなものは嫌だ←
※鉄拳のネタ


ですね。

ゼロ

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書いた人

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本当はもう寄稿しねーよとか思ってたのに何やかんやで寄稿しちゃう優しい人。今年の5月でブログが6年になる僕をお祝いしてあげよー!

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