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因果と応報

 私のファーストネームの由来が曽祖父にあるような話を母から聞いたのは中学生時代か高校に上がってからか。うる覚えではある。

 その時に著書があるような事を聞いていた。

その後一度だけその本を手に取ったことがあるのは二十台の頃だったか。

未だ読書とは無縁の状態であった時だ。

 親族に関心を抱くことが恥ずかしいと感じたのか、ただただ読書をすることが苦手だったのかは今考えたところでなんとも言えない。

 

 今年、なにを思ったかその曽祖父の著書のことを思い出し実家にそれがあるのがわかっているのにも関わらずECサイトで探した。その本は既に絶版になっているのでみつからなかった。中古というキーワードを追加して探してみるとユーザーのひとりが出品していた。価格は五千円後半の値段が記載されていた。正直、不思議な感情が湧いた。

その本は曽祖父が大正時代に書き出版されたような情報は得ている。その本に書かれた金額は千三百円。コメントに困る。この金額の差異は興味本位で母に伝えてみた。それなりのリアクションはしていた。側にいた父もそんな感じだった。

 

 少し日を開けてその本を中古で購入せずに実家に出向き母に了承を取り読ませて頂くことにした。なんだかよくわからないが緊張した。その本は私の使っていた部屋の、私が使っていた洋服ダンスの上にある卒業アルバムに積み重ねてあった。当然のことかその本は黄ばんでいた。母に読んでいいと言われたが読み始めるのに一瞬躊躇した。しかし、本を開き文章をなぞればあっという間に半分程度読み進めてしまった。

 

 曾祖父が書いた本を読むということで勝手に芽生えた自己中心的な視点。

 

 曾祖父が書いた本には教育とか教員、生徒、新約聖書、お母さんというような大項目が流れて行った。私は学校は好きであったが教師は嫌いだった。中には好きになった先生もいたがほとんどの担任、部活の顧問に好意はもてなかった。きっかけは無限にある。はじめてそれを感じたのは小学校低学年の時だ。その時の担任がいつもは参加しない命令しかしない、言い放つことしかしない担任が掃除に加わった。何故か、それは自分の受け持つ教室、クラスをPTA関係の視察対象に選ばれてしまったからだ。その日、前日だけはその担任は掃除に参加し一生懸命掃除をした。そのイベントの次の日からは勿論のこと担任が掃除をすること、協力する動きはなかった。

 

 曾祖父が書いた本の前半は少し過激に感じた。こういうナルシストのような教師が多いと例をあげ揶揄する。生徒の身には一切成らないと否定する。その後の文章で良い教師というのはこういうものであるとも実例等もあげる。妙に納得させられた内容だった。ただ視点を変えれば読んだ私はひ孫である視点でも意見を思い。読者としての視点も併せ持つ。前半を読んだ時点での正直な感想はとても過激だと感じた。ここまで激しく書かれた内容に果たして何様なんだとも。私は曾祖父に会ったことがないし、祖父から話を聞かされたこともない。母から軽く伝えられただけだ。

 

曾祖父が書いた本を読み進めていくと、曾祖父は物書きであったことが伺える。

しかし、職業を教員に転職している。

スカウトのようなものを受けたみたいだ。

居場所は、所在地は生まれ福岡、その後東京、鹿児島、姫路、東京と落ち着いたようだ。それが本望だったのかは知る由もない。

 

 曾祖父が書いた本の後半は哲学や新約聖書が登場する。織り交ぜて例えに用いて、とにかく伝えたい事があったようだ。文末にあるあとがきのような場所に書かれたそれは最後には何を伝えたかったのかがとても綺麗に読みやすく、理解し易い様に書かれていた。そこには自分の力のなさから読みづらくなってしまったことへの謝罪も書かれていた。一番最後の文章がこの本の中で一番魅力的だったかもしれない。一冊を通して正直な感想は著者が記載しているように難解な部分も多かった。最初は大正時代に書かれたものだから私には読みづらいのかとも考えた。

 

 いや、終わってみれば令和の今に読んだがそれが大正時代に書かれたものとは思えなかっただ。

 

 眉唾ではあるが、悲しい感情を得る様な文章もあった。それは、私が学校生活や先生に対して日々感じていた否定的な内容が綺麗にまとめられ正されていたこと。これを読む事で私が担任に抱いていたWhyはほぼ解決した。

 

 ただただ思う事は曾孫である立場として読んで受け取った本と読者として読書した立場では評価、受け止め方は一致せずに違ってしまうのではないか。タラれば。

 

 著者、曾祖父の没年齢に私は今年達する。

 

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