アメリカで内戦が勃発、火中にジャーナリストがその時を大統領へコメントを求めに向かう。向かった先にあるワシントンD.C.までの道のりは約1300km。
終わってみれば3部構成のよう、区切りがある物語。
戦火の写真を生業とするリー・スミス(女優:キルステン・ダンスト)が主役だろう。
個人的な見解では「世代交代」がテーマだったと受け止めている。
通してみれば気分よく最後まで鑑賞可能な作品ではないことは確かだ。内戦であり、戦争が主である為に残酷なシーンは少なくない。銃は無差別に向けられるし、当然油断すれば直ぐに打たれる可能性がある局面があった。
先にこの作品を3部構成として理由としては綺麗にシーンが映り替わる描写があった。背景が遠目で映り、少し間があり、捉え方としては移動しているような、思い悩むような不安を描くような画。そこからテーマが変わるように物語は進む。
私が勝手に受け止めたキーワード3つは出会い、別れ、そして最後に世代交代だ。端的に言えばアメリカが2つに分かれ大統領が狙われた。併行して名を馳せた報道カメラマンの悲しくも起きてしまった入れ替わり。そんなメッセージとして見た。
途中、大きく映し出されたアメリカの国旗には馴染みのある州の数を表す50の星が2つしかなく、その2つの星は面積を大きく陣取り強く表現されていた。当然だがスクリーンで観ている日本人の私ですら違和感はあった。
観ている側からも難題と思われる質疑応答が続いた。私の思う2部で仲間のおふざけから命を危険にさらしてしまった場面、生き残るにはアメリカ人であることを問われるが…
「どの?アメリカ人か…?」
と銃を向けられる。
勿論、答えは銃を向けている側にしか存在しない。正解は、それをどのように善しと受け止めるかのバックグラウンドでしかないように感じた。
映画や、小説などの作品、絵画なども含むだろうが鑑賞側に受け止め方をまかせられること少なくはないと思っている。これは表現者に対して失礼かもしれないが伝わるコト、捉えられるコトは様々でその人の感性に委ねられることも多いのではないだろうか。
内戦が主ではあったが主人公リーとジェシーのカメラと写真の意見交換も非常に見所の映画だと思う。リーがジェシーに聞いた、彼女が大事に使用する愛機(Nikon FE2と日本語字幕では表現されていた)やキャンプ地で休息の中、ジェシーは独自の現像キットを持参しそそくさと撮影したネガをスマホを通して確認する。ところどころに散りばめれたジェシーが撮ったとされる写真に惹かれるものもあった。私が2部と称するワシントンD.C.までの道のり残り約250kmにて同乗する車中で撮った3人のメンバーの表情も良かった。
ブティックにてリーが試着したドレス姿にカメラを向けるジェシー。リーの素(笑顔)を撮りたくて投げかける言葉は和むシーンだった。
カメラを持っていて、写真を撮ったことがある人なら
「あっ…また撮りたい…」
と思わせるシーンが多い作品。
余談ではあるが、たまたま映画館で私が座った前列、左側には白人カップルが鑑賞していた。映画【CIVIL WAR】感想は非常に気になるところだ。カップルの彼女が鑑賞中に3回声を出して笑ったシーンがある。字幕で鑑賞したので勿論流れ、セリフの意味はわかるが周囲にいた日本人はひとりも笑った感じはなかった。やはりそのセリフはシーンに上手くあてはまり笑いを誘うブラックジョークなのだ。
寄稿者:TaNuma