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人生の速度と密度

これを書いている今、4月は今日を含めてまだ2日残っているが、この4月は時間感覚的に密度が高かった気がする。
いつもであれば「もう4月も終わりか、今月もあっという間だったな・・」という感覚となりがちなのだが、今月は同じ 30 日間がやけに長い。
下手をすると体感で「短い」(時間の経過が早い)と感じる月の2倍くらいの長さに感じる。しかも中身が「濃い」。何故だ。

理由を考えてみたい。今月どんな過ごし方をしていたかに鍵がありそう。ていうかそれしかなさそうだ。何か出来事があった時に必ずつけている写真日記ブログで4月の出来事を頭から振り返ってみる。

・仕事帰りに花見をした(一人で・1時間程度)
・福島へツーリング旅(一人で・2泊3日)
・飲み会(4人・初めて会う人2名)
・誕生日会(4人)

イレギュラーなイベントはこれだけであった。では普段ルーティンでやっている行動はどうだろうか。

・バイト(夜勤 12 泊 + α)
・サウナ巡り(12 回・そのうち新規訪問5店)

経済面ではいつもの月と特に変わりなく、新しいガジェットや家電の購入などの大きな買い物も無し。旅行で少し出費がかさんだ程度。
続いてリアル体験以外のネット活動や読書などを振り返ってみる。

・ブログ(15 本・普段の平均よりやや多いか)
・note(2 本)
・SNS(毎日・通常営業w)
・Yahoo! ニュースのサウナ記事(1本も書けず・・)
・読書(10 冊前後・図書館)
・漫画(40 冊・レンタル)

視聴覚体験はこんなもので、テレビ番組と映画、YouTube の動画などは1本も見ておらず、音楽もほとんど聴かなかった。
健康面ではどうか。

・不眠気味(1日4、5時間の日が多く、1日を通して快調という日はあまりない)
・アルコール(飲酒機会はほぼ人と会う時だけになった)

概ね、このような1ヶ月であったが、これが妙に充実していて、鬱陶しい言い方をすれば「QOL が高かった」のである。「幸福度」と言い換えてもいいか。
もしかすると大嫌いな寒い季節が終わったという季節・気候的要因もあるのかもしれない(たかが天気に結構気分が左右される)。
とりあえず自分の場合「こんな感じの1ヶ月を過ごせば生活が充実しそう」、という指標・ヒントになっていそうである。

さて、どうして今月の幸福度が高かったのかだが、これはやはり月の初旬にした旅行の満足度と充実度が大きいだろう。未知の新鮮な体験をして大いに羽を伸ばせた、という事。
加えて「移動距離が長い」事と、旅したのが「行った事の無い土地」であった事が大きいように思う(目的地と宿泊先は福島県で、全走行距離は 680 km)。どうも私のする旅は、メインの目的地やイベントだけでなく、その過程で立ち寄ったり通過した全ての場所と些細な体験が割と等価に印象付けられるようだ。
移動手段が実に久しぶりのオートバイ(2ヶ月前に購入)だった事もかなり影響していると思う。スクータータイプとはいえ、車よりも格段に運転に気を使い疲労度も高いが、風景と一体化するようにその土地の空気感が味わえて、視覚情報だけでなく全身に爆発的な情報量を浴びていた気がする。

それと人とのリアルなコミュニケーションでしょうかね。4月は延べで 10 人くらいの人と会って飲食したり話したりしている。旅先も友人の地元で、一緒に動き回った。

もう一つは内的な体験、読書とマンガ鑑賞が充実していた点か。特にマンガは良作傑作に当たると、現実とは違う時間軸のもう一つの擬似体験をしているようで没頭してしまう。これは小学校に上がった頃くらいから変わらず、もしかするとサウナよりも漫画の方が好きかもだ。
そう云えば、その趣味のサウナ巡りも、初訪問する店、つまり「未知の体験」を優先させている。こういった趣味はもしかすると「行きつけの店に通う」のが通なのかもしれないが、よほどアレな店でもない限り、こちらも「既知」より「未知」の方が体験的価値として上なのであった。

旅行、外出、友人と会う、趣味に興じる・・こんなところか。無論、これは私の場合であって、生活と暮らし、人生の充足感は百人いれば百通りである。
恋人や家族と一緒でないと生きた心地がしないとか、バリバリと仕事をこなしてお金と社会的承認を得ている事が自分のアイデン&ティティであるとか、部屋が大好きで1日中ゲームとネットしてれば幸せだ等々、そこは人それぞれ。

次に、楽しかったけれど不思議と長く感じたこの1ヶ月の時間感覚について仮説を立ててみる。一般的には楽しい時間は早く過ぎて、苦しい時間は長く感じるものであるが(サウナと水風呂みたい)、充実して楽しかったこの4月が長く感じるのは何故だろう。
それは新鮮で質の良い体験がバランス良く詰まっていたからなんじゃないだろうか。それと先の旅行の「移動距離」だろうか。
例えば、「日帰り」で東京〜大阪間の旅行をした場合、1日を振り返った時に「今日はずいぶん色々やったな・・」と思う筈である。これが刑務所の独房のような部屋で何もせず、誰とも会わない1日だった場合はどうか。同じ 24 時間を過ごしても、1日を振り返った時、先の旅行者よりも時間を短く感じるのではないだろうか。
一見、辛くて退屈な時間の方が長く感じる事から後者の囚人の1日の方が長いような気もするが、振り返ると「何もしてないのにあっという間に1日が終わった・・」という気分になるんじゃないだろうか(休日に遅い時間に起きた時の俺か)。

つまり、楽しいことをしている最中には時間の経過を早く感じるが、振り返った時には長く感じる。逆に辛いことをしている最中は時間は遅く感じるが、振り返ると短く感じる(バイト中の俺か)。
だから長い刑期を終えて刑務所を出所した受刑者が収監されていた期間を振り返ると、存外あっいう間に思えるのかもしれない。
同じ 80 年を生きたとしても、退屈な時間を長く過ごした人ほどあっという間なのかもしれない。
出来うる限り、自分にとって楽しく彩りに満ちた生活と人生を。

 

寄稿:カラーひよこ

週休5日の半隠居 🐤

X:@colorhiyokoma

note では読書感想などもつけてます。