写真と文

誰でも参加自由。メンバーが共同で作る WEB 同人誌

餃子の王将で中華そば

 先月だったか、隣の市に餃子の王将が新規オープンした。用はなくとも幾度と通るその国道沿いに開店した。オープンしてからも横目で伺うことが続いていたが

「食べてみたい……」

とは素直に思っていた。

 

 東京生活で餃子の王将には数回足を運んでいる。きっかけは

「若い頃に餃子とビールでやり過ごした場所」

という思い出を多方面の年長者達から何度も聞いていたからだ。皆、だいたい同じことを言う。

 

そんな話を何度も聞いていると、そういう場所でしかないイメージを強く持つ。

 

 餃子の王将の店舗に持つ印象は老舗感がある内装と油っぽいことが脳裏にあったが、今回新規オープンの店舗に足を運んでみると当然にそれは一掃された。時代にあわせたニーズもある。

 車を停めて入り口を入ると席が空くまで待つ為の丸い椅子がいくつか並んでいた。その目の前には発券機が用意されていて来店人数、お子様人数を入力して発券すると番号が記載されたレシートのような物が発行される。それを手持ちに丸椅子で待機する手順だ。コロナが終わってもこのような機器はコロナ対策かと勝手に思ってしまう。

 

 餃子の王将の発券機を入力したのはお昼前11時過ぎぐらいだったか、既に店内は入り乱れており私の番号は11番だった。早いのか遅いのかはわからないが、あっという間に店員に呼ばれ席に通された。

 

 腹はけっこう空いてはいたが、注文は軽めにした。自分の中にあまり履歴がない店舗であり、新規の場所なので味を伺うスタイルをとった。この日は、とりあえず2品注文。

「忘れられない中華そばとジャストサイズの餃子(3個)」

 

 当然かどうかは別として、予想通り餃子より先に「中華そば」が配膳された。見た目は予想以上に美しく盛られていた。少し侮っていたのか、崩れた印象で配膳されると失礼な予想をしていたが完全に裏切られた。スープは薄く綺麗だが油が強い見た目をしてた。しかし、口に運んだスープはとてもあっさりとしていた。続いて、チャーシュー。これは上品過ぎるぐらい薄くスライスされお年寄りが食べるには優しい提供の仕方だ。そしてシナチクがしっかり投入されていてありがたく。麺も食べやすく、軽いちぢれが気持ちをホッとさせてくれた。空腹感から完食は早く。食べ終わりのスープを堪能している時に「ジャストサイズの餃子(3個)」は配膳された。

 致し方ない。

 焼くものには時間がかかる。これは仕方がない。中華そばと同時に楽しみたかった気持ちは強いが…。

「そういうものだ」

と改め店を後にした。

 

 余談だが、この新規オープンの内装はよくできている。過去に訪れたことのある餃子の王将の内装は覚えていないが。こちらは全体がU字型に客席をめいっぱいとっており、その中央に広く、大きく厨房をオープンキッチンで、モロ見えで構えている。これだけ大きな厨房を用意していれば回転率、調理スピードはうなずける。しかも、厨房の中身をお客が入店時も退店時も必ず目の前を通るので衛生面を常に意識される。隠しようがない。よく考えられた店舗だ。

 

 私が過去に携わった飲食店経営者がたまに口にしていた、

「厨房スペースに余裕なんて持たせずに、その分客席を増やせ」

という嫌な言葉を覆してくれた気持ち良さがあった。

 

 美味しい餃子の王将でした。

 

寄稿者:TaNuma

tanuma.hateblo.jp

 

https://www.instagram.com/tanuma427/