写真と文

誰でも参加自由。メンバーが共同で作る WEB 同人誌

春の訪れ

 

岩の間にパッと生え出る福寿草

いつの頃からか、庭を囲っている石の間から、枯れ葉の下から、福寿草が芽をだし花を咲かせている。その葉といい花といい、なんと瑞々しいこと。この花が咲くと、あっ春だ、と改めて気づかされる。毎年種が飛ぶのか、塀の下辺りにもいくつも咲いているが、私が一番好きなのは、石の間から枯れ葉を掻き分け花を咲かせるこの福寿草だ。
そのなんと逞ましいこと。しかし、不思議と道端や公園の芝生なんかには見かけない。山には咲いていることだろうけれど。鳥が運んでくるのかな?

 

・影過り屋根越えてゆく北帰行

春といえば、この他、白鳥の北帰行も見られるが、昨年から、声はするものの、ぱたっと見られなくなった。帰行ルートが変わったのかなと思っている。毎年見られていた分、ちょっと拍子抜けがする。

 

・王冠の如く現るチューリップ

後はチューリップ。それは毎年いち早く芽を出して、4月の末頃には、咲き誇っていることだろう。しかし、2年くらい前から、鹿が山から降りて来るようになり、隣近所も庭を荒らされて、対策せねばならない。うちでは、仕方ないと諦めているが、隣などは、市に頼んでネットを張っている。おんこの木(常緑針葉樹)も食べていくのだが、なんでもチューリップが好物らしく、うちの庭には2種類のチューリップが植えてあったのだが、その背丈のある方のがよほどおいかったらしく、2年とも食べられている。それで去年の秋、全ての球根を掘り出して、その大きい方のを別にして鉢に植え替えした。鹿が食べない方のは、今、庭に芽を出しているところ。無事であれば良いが。

*****

鹿が降りてくるとか、白鳥の北帰行が見られるだとか、どんな田舎に住んでいるかと思われるだろうが、北海道なので、海やら山やら、湖、湿地などが身近なのです。子供の頃は、港町で育ったので、故郷といえば港となる。貿易港だったので、一本道を出れば、毛皮の帽子をかぶったロシアのご婦人たちが普通に歩いている、といった環境だった。街へ向かうロシアのご婦人たち。これも冬の見慣れた光景だった。はるか昔の話です。あの頃は、街もそれなりに賑やかだったが、今はシャッター街になってしまっている。

なんの変哲もない寂れた土地に住んでいるのですが、花は分け隔てなく咲いてくれる。石の間から生える福寿草の野性味ときたら、それだけで清々しい空気を運んでくれるかのよう。気象に狂いはあっても、そんな中こうして自然の営みは繰り返されている。それだけでも安心感は得られているのでしょう。自然に触れることは大事だと改めて痛感する次第でありました。

 

寄稿者:とりこり

はてなブログ:アプリコットな日々

X:@hitokotouttar