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波平のエンディング・ノート【 余命 10 年のつもりで生きる 】

今年も無事に誕生日を迎えた。少年老い易くなんとやら、振り返れば尾崎豊の歳をとうに超え、カート・コバーンの歳を超え、ジョン・レノンよりも年上に、天才バカボンのパパより年長に、そしてついには「サザエさん」の波平の年齢と成り果ててしまった。

マジで勘弁してほしい。幸いにも髪の毛の方はハゲ散らかす有様にはなっていないけれど、波平は衝撃である。マジで危機感持った方がいい。

なんだか4にたくなるな・・だって、波平っすよ??家では浴衣着て「左様」とか言うのか。番組を見始めた頃はカツオとかワカメの年齢だったのに。
例えば「新世紀エヴァンゲリオン」なんかでも、テレビ見てた時はミサトさんとか加持君より少し年下くらいだったのが、今や碇ゲンドウよりも年上なのだ(多分)・・光陰矢の如し、残酷な天使のテーゼである。

左様。もう腹をくくった。観念しよう。つまりは長くても余命 10 年くらいしかない意識で生きていこうと思う。
かのスティーブ・ジョブズ師(Apple コンピュータ創業者)の有名なスピーチに「もしも今日が人生最後の日だったら」というのがあったけれど、たった1日だとアタフタした挙句にいつも通りの1日で終わりそうだし、その設定が数ヶ月とか数年というのも、妙に生々しいので、ユルめに「10 年」と設定したい。

それにしても昨今の、自分より少し先輩のロックスターや漫画家の訃報を耳にするにつけ、残り 10 年でも、身体も心も健やかに還暦を迎えられる事ができたのなら、存分におめでたく、十全に有難い事なのやも知れぬ。

「老後」というのが何歳以降の事なのか知らないけれど、今やらないで老人になってからのお楽しみでやりたい事って何一つ無いと思うんだよね。

それと、苦しまずに死ねるものなら明日フワッと死んでしまっても別に構わないんよね。「早く死にたい」という意味では全然ないんだけど、別に長く生きたくもない。先々の希望も無ければ特に思い残す事も無い。
波平みたいに家族でもいれば、未来の希望に繋ぐ子どもや孫たちの成長が楽しみだったりするんだろうけど(カツオやタラちゃんが一人前になるまでは死ねん)。

なんだか「無敵の人」的な思想にも繋がっているようにも思えるが、自暴自棄とは違う。至って平和で、肯定的で、静かに充足さえしている。
「人生をもう一度やり直せるボタン」があっても押さない。来世があったとしても生まれ変わらない。石仮面があっても被らない。
アンコールは無い。死んだらそれで終わり。この一回性と不可逆性の尊さよ。

とりあえずは人生の「旬」はとうに過ぎた事を受け入れて、余命 10 年のつもりで、したい事だけを、気力体力の要る事から優先して片付けていこう。

電脳空間に散乱する膨大な駄文は遺書である。ブログは長いお別れに向けたエンディング・ノートだ。終わりは始まった。残る私の人生は、「余生」である。

余生だ、余生。

 


寄稿:カラーひよこ

週休5日の半隠居 🐤

X:@colorhiyokoma