「パクチニストなんで!!…」
という同僚の言葉を思い出した。
10分程度の休憩中に同僚が何気なく放った言葉を振り返る。
その時は自分もそうである主張をしたかったが寸でのところで止めておいた。
あまり自信がなかったことと、主張したところで何か得をするような場面ではなかったからだろう。
初めて【パクチー】を口にしてから右往左往あり、舌が肥えたのか?…いつのまにかそれは好きの部類に入っていた。
ベトナム料理へ足を運びフォーを注文し、【パクチー】の効果を楽しんでいたことさえ過去にはあった。
時にはレモングラスと間違え、勘違いしてしまうほどに明確さは自分の中には持ち得てはいないが【パクチー】は好きだと言えた。
その流れからか、ルーティンで足を運ぶスーパーのおつとめ品なのか、推したい商品なのか不明な売り場の前面にディスプレイされていた
【ペヤング やきそば パクチーMAX】
数秒悩みはしたが、買い物カゴへ投入することは造作もなかった。
旨味よりも、興味本位が勝ったのだろう。
自宅にて封を切り、湯が沸き、…改めてかやくを眺めると【パクチー】は乾燥タイプだった。フレッシュではないことにいまさら理解する。付随するニンニクチップの量もなんとも言い難い量だ。この時点でなかなか強烈な臭い、香りを放っている。
湯を注ぎ、約3分。湯を切るが、当たり前に乾燥【パクチー】は湯切りする穴から逃げ、流れようとする。巧く容器を傾かせながら最低限の【パクチー】を逃がしただけで済み、損失は少な目で終えた。
再度、【パクチー】の香りはキッチン、部屋へ充満する。
結局のところ被害は予想を超えていた。
食べた感想は…塩やきそばに乾燥【パクチー】を大量に和えたようなスタイルの物だ。ニンニクは私が麻痺しているのかあまり感じはしなかった。定期的に口にしている大手コンビニのペペロンチーノスパゲティのほうがガーリック感は強い。
食べすすめれば、進むほどにソースが欲しくなる。運が悪いことに私の手元にはソースは置いていなかった。そのまま、塩やきそばに乾燥【パクチー】をふりかけ、和えたような状態で完食した。
塩やきそばに【パクチー】風味のふりかけを沢山まぶした物に感じた。
満足したのかどうかは不明だが、部屋とキッチンはとにかく【パクチー】の臭いと香りが染みついた。換気扇を強めにかけてはいたが数時間は【パクチー】の部屋と成った。
私はパクチニストではないのだろう。
怖い物みたさのような遊び心を忘れないのも人間の面白さのひとつかもしれない。
寄稿者:TaNuma