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ミュージシャンの「ステージ衣装バトル大会」を妄想してみました

私が洋楽を聴くようになったのは1995年である。

なぜはっきり覚えているかというと、当時邦楽のミュージシャンをいろいろと聴いていたがいまいちしっくり来ず、そんなときにたまたま手に取った音楽雑誌でリリースされたばかりのオアシスの名盤『(What's The Story)Morning Glory?』の特集記事が掲載されていて、興味を惹かれて近所のCDショップへと出向き同アルバムを購入・拝聴したところ、ものの見事にはまってしまった。つまり、私にとって1995年は洋楽を聴くようになった記念すべき年なのである。

オアシスで洋楽に開眼した私はその後もブラーやニルヴァーナなど、とにかく有名どころのバンドを片っ端から聴くようになった。

なにしろ新鮮だった。まず、外国人が英語で歌っている曲を聴いていること自体が新鮮だったし、彼らの音楽も邦楽のミュージシャンとはなにか決定的に違うもののように当時の私には感じられた。

さらにもうひとつ、新鮮に感じたことがある。

彼らの服装、つまり、「ステージ衣装」だ。

オアシスのギャラガー兄弟のライブ時の服装といえば、アディダスのジャージにジーンズにスニーカーとか、だいたいそんなような感じだった。ブラーのメンバーだってポロシャツにジーンズにスニーカーみたいな格好だ。ニルヴァーナのカート・コバーンなんて、破けてボロボロのネルシャツやカーディガンやジーンズを着用してステージに立っているではないか。

私が洋楽に手をつけるようになる前に聴いていたのはBOØWYとかそのへんである。BOØWYといえばレザーのジャケットとパンツにブーツだとか、あるいはライブ用に特注したのであろうピカピカなスーツだとか、あと『夜のヒットスタジオ』に出演したときになんかめちゃくちゃ暖かそうなかつ高そうなコートを着てた氷室京介が古舘伊知郎に「銀座の買い物帰りのおばさんみたい」といじられて以降テレビに出ないようになったとかそんなような感じであり、アディダスのジャージ着て「わがままジュリエット」や「ONLY YOU」を熱唱したりギターを弾いている氷室や布袋なんて観た記憶がない。

つーか、こいつら普段着じゃん! 

いやしかし、これがかっこいいんだ。自然体っぽい感じがイカしてるというか、なんかヘンに着飾ってなくていいなあというか、ヤングな私はなんだかよくわからない感慨めいた思いを抱いたのだった。

とはいえ、ミュージシャン=エンターテイナーである。歌唱や演奏で耳を楽しませるのみならず、着飾り感バリバリの豪華な衣装で目のほうもばっちり楽しませてほしいという意見があるのも当然だ。

そこで今回はミュージシャンたちによるステージ衣装を競うバトル大会が開催されることになったと妄想して、対戦カードと試合の見どころを解説したいと思う。

それでは早速いってみよう。

 

【第1試合】中村雅俊vsリアム・ギャラガー

オープニングマッチから大物同士の対戦がいきなり実現する。なぜかサンバイザーを被って歌番組に出ていた謎の時代があったことが一部のマニアのあいだで語り草となっている中村。一方のリアムは陽光照りつけるサマソニのマリンスタジアムでモッズコートを着こなしながら熱唱していた姿があまりにも有名。この両者の対決となれば、やはり時期は夏場、それも野外の特設ステージが相応しいだろう。サンバイザーで暑さを凌ぐ戦法の中村か。どんなに暑かろうと意地でもコートを脱がないリアムか。ドラマティックなストーリーにも注目のマッチアップだ。

 

【第2試合】レッド・ホット・チリ・ペッパーズvsジャネット・ジャクソン

脱ぎたがり同士の珠玉の一戦。メンバー募集のオーディションでやって来たジョン・フルシアンテにその場でパンツを脱ぐことを命じちんこのサイズをしっかり確認してから合格にしたという逸話があるほどちんこソックスパフォーマンスに並々ならぬ意欲を燃やすレッチリ。対するは全米が注目するスーパーボウルのハーフタイムショーで乳首を故意に露わにしたとして物議を醸した経験があるジャネットだ。この試合に向けた両者の意気込みは半端なものではない。手練れのレッチリと「ハプニング」復活に臨むジャネット。果たしてポロリはあるのか。というか、テレビで放送できるのか。ネットの生配信は実現するのか。「放送事故なんぞ知るか」と言わんばかりの魂のファイトに期待したい。

【第3試合】フレディ・マーキュリーvsエルヴィス・プレスリー

セミファイナルは故人を3Dホログラムで映し出すことで実現する特別試合。フレディはどの時代のステージ衣装も印象深いが、もっともインパクトがあるものといえばやはりこの白タイツになるだろう。胸毛のみならず股間のもっこりも見逃せない。同じく胸毛なうえに白を基調としているという意味でも被るエルヴィスの対抗意識は強い。一見するともっこりのフレディ有利な勝負論のないマッチアップという見方もあるが、刮目してほしいのはエルヴィスの両袖付近に確認できるソーメン状の物体だ。「フリンジ」というものらしい。かっこよさよりもおもしろさ。繊細さよりも大胆さ。そんな拗れた試合を見せてくれるような気がしてならないこの一戦はファンのみならずファッション通信のスタッフたちも注目していることだろう。

【第4試合】ビョークvsビヨンセ

これまで数多のステージ衣装で話題を攫ってきたビョークに米国発のスーパースター、ビヨンセが挑むメインイベント。奇抜な衣装の両者を「オモシロ」か「ヘン」として捉えるかで今回の展開予想が大きく変わってくる。勝負の鍵は両者の年齢差になる。58歳のビョークに対してビヨンセは42歳。16歳差というハンデがモロに出たビョークがスタミナ切れを起こすか、経験値を生かして有利に立つか。それともビヨンセが高らかに世代交代を宣言するのか。世界的な歌姫同士によるこの激闘は日本中の古参洋楽ファンの心を鷲掴みにすることは間違いない。

 

というわけで、ものすごくくだらない記事を書いてしまいましたが、ミュージシャンのみなさんはいろんな衣装で我々を楽しませてほしいと私は思っている。

以上。疲れた。おしまい。

 

 

寄稿:とんちの人

新・ぐうたらとんち雑記帳

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