近所の本屋さんが今月いっぱいで閉店するという。
天気のいい日に散歩がてら本を見に行き、店内にあるタリーズコーヒーに立ち寄り、コーヒーを飲みながら買った本を読むのが楽しみだった。
なのに、新型コロナウイルスが流行して外出を制限され、電子書籍を買うようになると、自宅にいながら本を買えたり、スマホのアプリですぐに読める手軽さに、すっかりハマってしまった。
そのうち、マスクの着用は個人の判断が基本となって、新型コロナウイルス感染症が５類感染症へと移行され、次第に元の生活に戻りはじめてからも、私は電子書籍の便利さにどっぷりと浸かったまま、本屋さんへはすっかり足が遠のいていた。
おかしなもので、全国で書店が減り続けていると報道されていても、あの本屋さんだけはいつまでもあるような気がしていた。電子書籍で販売していない本だけ買いに行けばいいかな、なんて思っていた。
閉店すると知ってから、なんでもっと本を買いに行かなかったのかと後悔した。電子書籍じゃなくて紙の本にすればよかった、あの本屋さんにもっと行けばよかったと何度も思った。
私一人が本を買ったところで、閉店を阻止できるわけではない。けれどそれでも、今まで本を読むことで何度も何度も救われてきたくせに、紙の本を買うことで本屋さんを応援してこなかった自分がとても悔しい。
寄稿：sumi
